司法書士試験の免除制度とは?【試験免除と筆記試験免除】

司法書士試験の免除制度

よしと
よしと

おつかれさまです!司法書士の「よしと」(@yoshitoshikaku1)です。

司法書士って税理士試験の科目合格のような試験免除制度はないの?

そんな疑問はないでしょうか?

この記事では、司法書士試験の免除制度について説明します。

なかなか利用する機会はないものですが、万が一のときに役立つ場合もありますよ。

免除制度を使う機会もなく4回目の司法書士試験で合格して司法書士になった私が解説していきます。

 

 

司法書士試験の免除制度は2つ

司法書士試験には免除制度として以下の2つがあります。

  • 試験免除(試験を受けずに司法書士になれる)
  • 筆記試験免除(筆記試験を受けず口述試験を受けて司法書士になれる)

それぞれの免除制度について、根拠や実際の利用状況などについて説明していきます。

司法書士試験の試験免除

試験免除を受けられれば、司法書士試験を受けることなく日本司法書士会連合会、司法書士会に登録して司法書士となることができます。

試験免除の根拠は司法書士法 第4条です。

司法書士法

第四条 次の各号のいずれかに該当する者は、司法書士となる資格を有する。

一 司法書士試験に合格した者

二 裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官若しくは検察事務官としてその職務に従事した期間が通算して十年以上になる者又はこれと同等以上の法律に関する知識及び実務の経験を有する者であつて、法務大臣が前条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び能力を有すると認めたもの

この2号が試験免除です。

わかりやすくまとめると、

裁判所事務官等として10年以上勤務で法務大臣が認定した者
↑と同等以上の知識経験で

が司法書士試験を受けずに司法書士登録をすることができます。

「同等以上の知識経験」の方は実際にはほぼ例がなく、平成18年に特許庁の弁理士制度小委員会で配布された「各士業の免除制度について」の資料でも書かれていません。

 

裁判所事務官の合格率

法務大臣の認定を受けるためにはまず裁判所事務官にならなくてはなりません。

裁判所事務官の採用試験もいくつかに分けられていますが、最新の2019年度の受験者数や合格率などの情報をまとめると以下のようになります。

試験種受験者数合計最終合格者数合計合格率
総合職試験裁判所事務官院卒者区分104109.61%
大卒程度区分37671.86%
家庭裁判所調査官補院卒者区分1101614.54%
大卒程度区分3874712.14%
一般職試験裁判所事務官大卒程度区分8,8481,25514.18%
高卒者区分3,1401304.14%

受験資格が必要でありながら、合格率はあまり高くなくかなり難易度の高い試験です。

裁判所事務官採用試験自体は法学部以外からの合格も可能ですが、採用後に裁判所書記官にキャリアアップする際の研修期間が法学部卒だと1年間に短縮されるというメリットもあるため、法学部卒の受験者が多い試験です。

法学部以外の場合には裁判所書記官になるために2年間の研修が必要になります。

法学部であっても公務員試験の予備校に通って試験に合格する人も多い試験ですので、司法書士になることが目的であれば最初から司法書士の予備校に通って勉強をした方が効率が良いでしょう。

法務事務官・検察事務官の合格率

検察事務官は検察庁、法務事務官は法務省に勤める事務官です。

法務事務官から司法書士になるのは、実質的に法務局の事務官や登記官が対象となってくるので、ここでは法務省本省の話は置いておきます。

検察庁や法務局に法務事務官として採用されるためには、国家公務員採用一般職試験に合格する必要があります。

国家公務員採用一般職試験(行政・事務)の2019年度の受験者数や合格率などの情報をまとめると以下のようになります。

試験種受験者数合計最終合格者数合計合格率
国家公務員採用一般職試験(大卒程度)25,0885,67522.62%
国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)13,7972,30516.70%

国家公務員採用一般職試験に合格すると、検察庁や法務局などの採用面接を受ける権利を得ることができます。

実際に2019年度に検察庁や法務局に採用された人数は以下のとおりです。

法務局検察庁
大卒程度203138
高卒者試験104126

法務省:一般職試験(大卒程度試験・高卒者試験)の年度別・機関別採用状況

大卒程度で検察庁や法務局の採用面接を受けるのであれば、法学部の方が内定をもらいやすいということはあるかもしれません。

どちらにせよ、まずは国家公務員採用一般職試験に合格する必要があるため、こちらも公務員試験の予備校に通う人が多く、司法書士になるために法務局や検察庁を目指している人はいないでしょう。

関連記事:「大学生で司法書士取得!就活での有利点・合格法を解説」

法務大臣の認定

裁判所事務官等として10年以上勤務すれば誰でも司法書士になれるわけではなく、法務大臣の認定が必要になります。

実際に10年勤めれば法務大臣の認定を受けられるのかと言うと、現実にはほとんど無いようです。

この認定制度は、実質的には定年退職者の一部を対象とした制度であるようです。

法務大臣の認定を受ける面から考えても、司法書士になるために裁判所事務官を目指すのは現実的ではありません。

関連記事:「【司法書士試験】公務員から司法書士を目指す場合の情報まとめ」

 

司法書士試験の筆記試験免除

司法書士試験の筆記試験免除の根拠は司法書士法 第6条第3項です。

司法書士法

第六条

(1項2項略)

3 筆記試験に合格した者に対しては、その申請により、次回の司法書士試験の筆記試験を免除する。

(4項略)

筆記試験に合格したが口述試験で不合格となり最終合格することができなかった人が、翌年の筆記試験を免除される制度となっています。

口述試験って不合格になることがあるのか…

と思う人もいるかもしれません。

しかし、口述試験はほぼ100%行けば受かる試験となっているので、口述試験に不合格となるのは

口述試験当日に交通事情などで間に合わなかった
仕事を休めない事情ができてしまった
冠婚葬祭などにより行けなかった
本人や近い人が急病のため病院に行かなければならなかった

といった口述試験を受けられなかったケースと考えられます。

不可抗力で口述試験が受けられなかったら、翌年またあの筆記試験に合格してくださいというのは非常に酷ですよね。

そのための救済措置として筆記試験が免除されることになっています。

口述試験を受けたけど不適格として落とされてしまった人がいるのであれば、わざわざ救済してあげる必要はありません。

この筆記試験免除制度があることからも、口述試験で落とすことは想定されていないと言えるでしょう。

筆記試験免除の利用法

もし、筆記試験免除制度を使う場合の利用法は、司法書士試験受験案内書に書かれています。

通常の願書提出に加えて必要なものは、

  • 前年度の筆記試験合格通知書原本
  • ↑の写し
  • (郵送提出の場合)原本返送用の封筒(書留料金分の切手貼付)

の3つとなっています。

注意点は、通常の筆記試験受験者と同じ期間内に免除申請をしなければならない点です。

口述試験はまだ先だからとゆっくりしていると、筆記試験免除どころか筆記試験を改めて受けることもできなくなりますので、さらに翌年にまた筆記試験を受けなければならなくなります。

司法書士試験の試験免除制度まとめ

司法書士試験の試験免除、筆記試験免除は以下のような場合に使われる制度と言うことができるでしょう。

裁判所の職員として定年まで勤め上げた人が、第二の人生として司法書士をする場合
筆記試験合格後に事情により口述試験を受けられなかった人が、翌年司法書士試験を受け直す場合

残念ながらこれから司法書士を目指す人が意図的に使える制度ではありません。

司法書士試験に裏技はありませんので、着実に毎日勉強を積み重ねて試験に合格するのが司法書士になる唯一、一番の近道です。

関連記事:「司法書士予備校のおすすめ5選【初学者向け】」

関連記事:「【最新版コスパ徹底比較】司法書士予備校おすすめ通信講座」

関連記事:「司法書士試験の勉強時間・時間確保・勉強スケジュールの立て方まとめ」